教えて!Q&A
アイロンで付ける接着テープは利用できますか?
「店頭幕に金額を印刷したけれど、物価上昇に伴って価格を変更したい」「社名が変更になったので、上から布を貼りたい」
このようなご相談を受けたことが、何度かあります。確かに商品をお届けして間もないと、何とか今のものを使いたいですよね。
結論から申しますと、印刷した生地にアイロン接着テープで布を貼ることは可能です。
ただし生地によって向き不向きがありますので、印刷方法別にご説明します。
今回、検証に使用したのはこの3点です。
以下、全てあて布をしてアイロンプレスで付けています。
◾️昇華転写捺染
これは転写紙に印刷してから、高温でインクを昇華させ、布を染める方法です。当社で扱う生地ですと、ツイルやバンテン、帆布などが該当します。 その中から、横断幕や応援幕に使われる『帆布』で実験を行いました。
◎ 手芸店で購入したアイロン接着テープ
結論から言うと、とても綺麗に付きました。 生地が厚手なので、下の文字も透けていません。アイロンで付ける際も、手間なく簡単に接着することが出来ました。 剥がれないか引っ張ってみましたが、しっかりと固定されていて、剥がれる心配も無さそうです。
◎ 100円均一で購入したアイロン接着テープ
こちらも綺麗に付けることはできます。しかし、上の手芸店で購入したものと違って、あて布を濡らしてから使用しなければなりませんでした。 アイロンを当てると濡れた箇所も綺麗になりましたが、少し手間に感じます。そうは言っても100円で買えるわけですから、コストを抑えたい方にはとてもお勧めです。
△ 両面テープ
付くことはつきますが、上の2つほどしっかり付きません。思い切り生地を動かすと、割と簡単に取れてしまいます。
◾️ダイレクト昇華
200℃の高熱をかけて、布に直接インクを定着させる印刷方法。当社で扱う生地ですと、ポンジ/スエード/トロマットが該当します。 ダイレクト昇華印刷の生地はインクが載りやすいように特殊なコーティングがされています。昇華転写の生地よりもテープが付きにくいので、トロマットとポンジの2種類で実験してみました。
先ずは【トロマット】から。
◎ 手芸店で購入した強力アイロン接着テープ
問題なく付けることができました。付けた後の安定感は帆布と大差ありませんが、生地が薄い分、下の文字が少し透けるのが気になりました。
△ 100円均一で購入したアイロン接着テープ
こちらも付けることはできます。しかし、あて布を濡らして使用するため、生地にシミが出来てしまいました。ダイレクト昇華の場合は一部に水が付いてしまうと、このようにシミになりますから、百均の接着テープはあまりお勧めできません。
× 両面テープ
付くことはつきますが、剝がれやすいです。触ったり生地を動かすと、ポロッと取れてしまいます。
続いては【ポンジ】です。
× 手芸店で購入した強力アイロン接着テープ
× 100円均一で購入したアイロン接着テープ
どちらもうまく付けることができませんでした。と言うよりも、それに耐えきれないという表現が適切かもしれません。接着テープを付けようと思うと、しっかりとアイロンプレスをしなければなりません。力をかけ続けると、ポンジ生地が耐えられず、少し溶けてしまうのです。
ある程度生地の厚みがなければ、接着テープを貼ることすらできませんでした。
× 両面テープ
残念ながらほとんど付きません。
◾️インクジェットプリント
溶剤型のインクジェットプリンターで、ビニール系の生地に直接印刷する方法。ターポリン/メッシュターポリン/遮光ターポリンの3種類が該当します。ターポリンはビニール系の素材ですから、アイロンを掛けると生地が溶けてしまいます。そのため接着テープは使えません。
一方で両面テープの付きやすさはピカイチ。接着テープで帆布を付けた時と同じぐらい、しっかりと固定できます。長期間の使用であっても問題なさそうです。
物価が日に日に高騰し、やむ無く価格改定される店舗も多いと思います。デザインを一新されたい場合は買い替えをお勧めしますが、接着テープで上から布を貼るのも選択肢の一つでしょう。
しかしご紹介した通り、生地によっては付きにくいものもありますから、その点は十分留意して、取り付けをお願いいたします。
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